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政府が私たち国民に絶対に知られたくない「消費増税の裏の思惑」
- 三橋貴明
- 経済評論家
この記事は三橋貴明氏の見解を元に、経営科学出版が作成しています。
【注意】
この記事には、一部の読者にとって不快な内容が含まれています。ご覧になる場合は自己責任でお願いします。なぜ一部の人が不快になるような記事を作ったのか?なぜなら、これからあなたが知ることは、あなたの家族や子供の将来、私たち日本人の将来にとって非常に重要だからです。
「消費増税は経済にダメージを与えない」という愚論
2014年の消費増税前―覚えているだろうか?
ほとんどの評論家、経済学者、ジャーナリストが「消費税を増税しても、景気への影響は少ない」と言っていたことを…。
しかし、あれから5年以上経った今、彼らの言っていたことはとんでもない間違いだということが明らかになっている。
例えば、増税以降、国内企業の99%を占める中小企業の景気は悪化し続けている。
この図に示している中小企業DIというのは、中小企業の景況感を表すもので、「マイナス」というのは「景気が悪い」ことを表す。
リーマンショックでどん底に落ちた景気は、ジワジワと回復していたが、2014年の増税によって、その勢いがピタリと止まってしまった。
それから一向にマイナスを抜け出せずにいて、多くの中小企業が苦しんでいる。
大ダメージを受けた私たち国民、そして一向に回復しない日本経済
その影響は、サラリーマンの財布に大ダメージを与えている。 こちらの図は、代表的なサラリーマンの給与の推移を表したもの。 見ての通り、消費増税以降、2010年の水準を一向に回復していない。 【図】決まって支給する給与
*事業規模5人以上の企業の給与、2010年平均を100として基準化
図の通り給与が減り、1世帯あたりの消費も34万円ほど減っているのだ。
34万円といえば、4人家族でも、ちょっとした豪華な旅行ができる額だ。
収入が増える見込みもなく、多くの国民がたまの贅沢すらも我慢している状況が垣間見える。
【図】消費増税前後の、各世帯の消費支出額の推移
その状況は今もなお続いており、V字回復すると言われていた日本の消費は、L字に停滞し続けている。
【図】日本の実質消費支出の推移(2015年=100)
消費増税は明らかに、私たち国民を貧しくしているのだ。
痛みに耐えた国民を平気で裏切る政府
にもかかわらず、国民が増税を受け入れているのはなぜか?
それは多くの国民は「年金や医療費など、増え続ける社会保障費を賄うため」という政府の言い分を信じているからだ。
「社会保障費を賄うためなら仕方がない…」と国民全員で痛みに耐えようとしている。
実際、政府は「増収分は全額社会保障に充てるために、消費税を5%から8%へ上げる」と言い、国民の多くはそれを「仕方がない」と受け入れた。
しかし、その裏でとんでもない詐欺が行われていたことを知っているだろうか。
「全額、社会保障費に充てる」はずが、実際には社会保障には増収分のわずか16%しか使われていなかったのだ。
いったい、残りの8割以上はどこに消えたのか?
山本太郎事務所が内閣官房に問い合わせた結果、「そういうのは出せない」と答えられた。
私たち国民が汗水たらして収めた税金、全額社会保障に充てるなら…と痛みに耐えて収めた税金が、裏でこっそりと別の目的で使用され、しかも、何に使ったのか教えてすらくれない。
こんなことが許されるのだろうか。
しかし、これはまだ大した問題ではない。
なぜなら、この裏にさらに重大な問題があるからだ。
消えた税金の謎…裏で儲ける勢力の正体
それが、消費増税の裏で行われていた、法人税の減税だ。
こちらの図を見てほしい。
財務省HP 法人課税に関する基本的な資料
これは法人税率の推移を表したものだが、昭和59年のピーク以降、ずっと下がり続けているのがわかる。
これは何を意味するか?
法人税が下がるということは、法人に残る利益が多くなる。
「利益が残ることは良いことじゃないか」と考えるかもしれないが、問題は「残った利益がどこに行くか」だ。
企業に利益が貯まる分、従業員の給料が増えればよいが、先ほども触れたとおり、サラリーマンの給与は一向に上がっていない。
では、その分の利益は何に回されているのか?
内部留保として積み重なるのはもちろんのことだが、株主に支払う配当や自社株買いに消えていっているのだ。
次に、こちらの図を見てほしい。
法人税減税があった2012年以降、毎年株主への配当額が増えていることがわかる。
消費増税があった2014年以降も、法人税は増税されるどころか減税され、その分配当金は増え続けている。
これではまるで、株主の利益のために、国民からカネを巻き上げているようではないだろうか?
さらに、こちらの図を見ると分かる通り、外国法人等が持つ株式の割合が激増しており...
日本人が汗水たらして働いて得た利益が、外国投資家にチュウチュウと吸われているのがわかる。
こうした事態は、日本を代表する企業でも目立っている。
株の62%を外国人投資家が保有している日産では、一株あたりの配当金が右肩上がりだ。
他にも、株の57.5%を外国人投資家が保有しているSONYでも...
株の64%を外国法人が保有しているオリックスでも同じことが起きている。
国民が重税に苦しむ裏で、外国人を中心とする株主がガッポガッポ儲ける…そんな植民地のような国に成り下がっているのが今の日本なのだ。
本当に消費増税は「仕方がない」のか?
消費増税の裏で起きていることを知ると、ある疑問が湧いてくる。
それは、そもそも消費増税をする必要があるのかという疑問だ。
これまで私たちは、「社会保障費が膨らみ続けている」「このままでは財政破綻する」「それを防ぐためには増税をするしかない」と教えられてきた。
しかし、増税による増収分は、社会保障に充てられることなく、法人税減税の原資となり、株主たちの配当金などに流れている。
そんなことをしてしまえば、「財政破綻」してしまうのではないだろうか?
…ここに、日本の財政の闇が隠されている。
そう、本当は「財政破綻」などありえないのだ。
その衝撃の事実を告発したのが、こちらで紹介されている書籍である。